Tokushima University / Educator and Researcher Directory --- Ishida, Michio

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Field of Study

○	Philosophy

Subject of Study

○	study of intersubjectivity, study of life-world

Book / Paper

Book:

1.	Michio Ishida : フッサール相互主観性の研究, 株式会社ナカニシヤ出版, Kyoto, Sep. 2007. (Summary) 平成18年3月に博士(文学)を授与された博士論文を圧縮して出版したもの．エトムント・フッサールの相互主観性理論を，他者経験，客観的世界の構成，心身問題，社会性の基礎づけ，異文化理解などの論点から論じた．特に「感情移入」に焦点を当てて，論じた．
2.	Hiroyuki Yamaguchi, Michio Ishida, Ri-ichi Murakami, 宮田憲治, 山口修二 and 村田貴信 : 科学技術と倫理, Nakanishiya Shuppan CO.,LTD, Kyoto, Feb. 2007. (Summary) 山口裕之は，第四部「生命操作技術の倫理と生命倫理学の倫理」(pp.90-113)を担当．現在，さまざまな分野において「倫理」が問題となっているが，そもそも「倫理とはなにか」，という根本的な部分があいまいなままに議論が行われている結果，倫理を論じると称しながら非常に非倫理的な言い争いが展開されている．本論文では，倫理とは価値の問題であって感情，特に対人感情に由来するものであるとの立場に立ち，倫理的な問題を倫理的に解決するには，普遍的な倫理的原理に訴えるのではなく，論争相手と共有可能な前提を探すべきであることを，生命倫理学上の論点を具体例として取り上げつつ論じた．また本論文の後半では，科学的認識がある種の価値判断にもとづいて構築されていることを示し，科学に普遍的真理を求めるよりは，その有効性と限界を考えたほうがよいことを論じた．最後に，倫理学的な論争の多くが「物言わぬ他者」を代弁することで展開されていることの問題点を指摘した．
3.	ルードヴィッヒジープ and Michio Ishida : ジープ応用倫理学, MARUZEN Co.,Ltd., Tokyo, Jan. 2007. (Summary) ルートヴィッヒ・ジープのKonkrete Ethikを，山内廣隆を代表とする広島大学応用倫理学プロジェクトセンターに属する研究者が中心となって翻訳したもの．
4.	ルードヴィヒジープ, クルトバイエルツ, 他 and Michio Ishida : ドイツ応用倫理学の現在, Nakanishiya Shuppan CO.,LTD, Kyoto, Mar. 2002.
5.	石崎嘉彦 and Michio Ishida : 知の21世紀的課題-倫理的な視点からの知の組み換え, Nakanishiya Shuppan CO.,LTD, Kyoto, May 2001. (Summary) 科学知の危険性と科学論の意義および現代社会が危険社会へと変貌していることを論じた．近代科学は自然の数学化により，生活世界を忘却し，生の意味喪失をもたらした．科学知は，再帰的近代化に対応する科学化の段階で科学論を生み出し，自己を批判の対象とする．一方，生活世界は再帰的近代化により危険社会に変貌し，危険は現代社会の不可欠の要素となっている．
6.	石崎嘉彦 and Michio Ishida : 知の21世紀的課題-倫理的な視点からの知の組み換え, Nakanishiya Shuppan CO.,LTD, Kyoto, May 2001. (Summary) 現代の不安な気分や不確実性を表すポストモダンの思想とそのゆくえを近代性の危機という視点から論じた．ポストモダンは記号学·構造主義からポスト構造主義への流れの中で西洋形而上学の理性の立場を問い直すことによって生まれた．そこで曝露されたのが近代理性の抑圧·支配の側面である．しかし，近代の「大きな物語」に不信をつきつけるだけでは，ポストモダンは近代性の克服にはならず，ニヒリズムへ導くだけである．
7.	ヨハンゴットリープフィヒテ, 隈元忠敬, Michio Ishida, 松本長彦 and keiji Ido : フィヒテ全集第22巻教育論·大学論·学者論, 晢書房, 入間, Oct. 1998. (Summary) 関連日記·書簡のうち『オット家の子供たちの教育に関する日誌』(1789年)(439∼487頁)を担当．これは，フィヒテがチューリヒのオット家に滞在して二人の子供の家庭教師をしていた頃の，両親への報告と意見表明である．フィヒテと教育方針の合わない両親との辛辣なやり取りから，彼の人間観に即した教育論や頑固な性格が読み取れる．
8.	ヨハンゴットリープフィヒテ and Michio Ishida : 教育論·大学論·学者論フィヒテ全集第22巻, 晢書房, 入間市, Oct. 1998.
9.	ヨハンゴットリープフィヒテ and Michio Ishida : 教育論·大学論·学者論フィヒテ全集第22巻, 晢書房, 入間市, Oct. 1998.
10.	石崎嘉彦 and Michio Ishida : 人間論の21世紀的課題, Nakanishiya Shuppan CO.,LTD, Kyoto, Sep. 1997. (Summary) テクノロジーは伝統的な倫理学の観点や基準の中には見られなかった倫理的重要性の新しい次元を開きつつある．私は本論文で，フッサールの生活世界論を，エントロピーとエコロジーというマクロ的視点を導入することにより拡大し，「循環に基づく持続可能な社会」を展望しつつ，テクノロジーの倫理的·形而上学的諸問題を扱った．
11.	隈元忠敬 and Michio Ishida : 知のアンソロジー, Nakanishiya Shuppan CO.,LTD, Kyoto, Aug. 1996. (Summary) フッサールはエゴが孤立した主観ではなく，低次にも高次にも共同化されていることを示そうとした．私は『デカルト的省察』と『相互主観性の現象学』におけるモナド論的現象学の構図を明らかにし，モナド論が社会性の基礎づけ及び高次の社会性の構成として構想され，さらに文化世界の構成にも関わっていることを明らかにした．その中で併せてライプニッツとフッサールの思想的関係にも触れた．
12.	隈元忠敬 and Michio Ishida : 人間論の可能性, 昭和堂, Kyoto, Jun. 1994. (Summary) 人間は生命·身体·精神という面と他者との関係という面から統一的·具体的に論じられる．生命·身体を欠いた孤独な精神という人間観は一面的である．そのためにまず私は，ディルタイの生とベルクソンの持続，フッサールとメルロー·ポンティの身体論を論じた．次に，フッサール，ハイデッガー，サルトルの他者論のそれぞれの特徴を検討し，ブーバーの対話的思惟の可能性を論じた．
13.	隈元忠敬 and Michio Ishida : 人間論の可能性, 昭和堂, Kyoto, Jun. 1994. (Summary) 近代科学の成立とその帰結を，コイレやトーマス·クーンの科学革命論および近代の機械論的自然観と自然支配の理念という面から論じた．また科学·技術と人間の関わり合いを，ゲーレンやハイデッガーの技術論およびフッサールの生活世界論を手引きとして論じ，最後に地球生命圏としての環境世界をラヴロックのガイア仮説を例に取り論じた．
14.	クラウスヘルト and Michio Ishida : 現象学の最前線, 晃洋書房, Kyoto, May 1994. (Summary) 故郷の世界が異郷の世界と出会うことによって唯一の世界を構成するというフッサールのある後期テキストにヘルトは注目する．これは客観的世界としての相互主観的世界の構成(第五「デカルト的省察」の主題)と人類が唯一の世界に向かっているという目的論的考察(『危機』書の主題)を橋渡しする．人類は唯一の世界を平和的に共存できる有限的世界として形成しなければならない．
15.	クラウスヘルト and Michio Ishida : 現象学の最前線, 晃洋書房, Kyoto, May 1994. (Summary) 生活世界という概念は今日哲学以外の分野でもしばしば用いられているが，それが導入されたフッサールの著作での問題構成が考慮されることはほとんどない．生活世界は単に後期の『危機』書の中でだけ論じられるのではなく，フッサールの一連の著作が目指している，超越論的現象学(一般的には哲学)への導入(入門)という連関の中で論じられる．この連関の中で科学批判，自然的態度から哲学的態度への移行などが現象学的に論じられる．
16.	カーレングロイ and Michio Ishida : 西洋と東洋における自然理解について, Faculty of Integrated Arts and Sciences, Tokushima, Feb. 1994. (Summary) カーレン·グロイの徳島大学での講演の翻訳．グロイはこの講演で，環境破壊などに見られるように自然科学が今日危機に瀕しているのは，西洋の機械論的パラダイムの帰結であることを指摘する．西洋のパラダイムと東洋のパラダイムの特徴をそれぞれ述べて比較検討し，東洋の有機的世界観の意義を肯定的に評価した上で，全体的な見方の転回としての「自然に対する倫理的な革命」がいまや要請されているとグロイは結論する． (Tokushima University Institutional Repository) ● Metadata: 11964 (Tokushima University Institutional Repository: 11964)
17.	ヘルマンシュミッツ and Michio Ishida : 身体と感情の現象学, 産業図書, Tokyo, Sep. 1986. (Summary) 攻撃的な関わりと誘発的な関わりをシュミッツは「感知されうる身体的状態感」に基づいて考察する．呼吸，攻撃，不安，欲望，まなざしなどは身体の狭まりと拡がりとしての緊縮と膨張が一定のリズムをもって拮抗し合うことから説明される．このような身体的現象において，感知しうる自己の身体は或る出会いに際して，より大きな身体として形成される．これが身体的コミュニケーションである．
18.	隈元忠敬 and Michio Ishida : 哲学名著解題, 協同出版, Tokyo, Apr. 1986.
19.	隈元忠敬 and Michio Ishida : 西洋哲学の流れ, 協同出版, Tokyo, May 1985. (Summary) フッサールは事象そのものを志向的体験へ立ち帰って問う現象学を打ち立てた．科学の客観主義によって隠蔽された地盤としての生活世界を発見し，そこからさらに超越論的主観性へ遡って世界の意味形成を問うフッサールの現象学はその後の現象学運動の基となった．
20.	隈元忠敬 and Michio Ishida : 西洋哲学の流れ, 協同出版, Tokyo, May 1985. (Summary) ソクラテス以前の哲学者たちによって始められた自然の考察としての哲学を，ソクラテスは人間存在そのもののあり方を問う知へと転回させた．真理を対話によって共同的に求める生きた思索の典型をソクラテスは示した．

Academic Paper (Judged Full Paper):

1.	Michio Ishida : Etichs over the nature of humans and animals, --- Attempt to construct the phenomenological ethics of nature ---, ぷらくしす, No.No.16, 39-60, 2015. (Summary) ( ) (Link to Search Site for Scientific Articles) ● CiNii @ National Institute of Informatics (CRID): 1520853834012295296 (CiNii: 1520853834012295296)
2.	Michio Ishida : 自然との和解とは何を意味するのか, ぷらくしす, No.13, 125-138, 2012.
3.	Michio Ishida : ラヴァーターにおける顔の記号学, シェリング年報, No.19, 120-128, 2011.
4.	Michio Ishida : モーリッツ・ガイガーにおける感情性格概念について, ぷらくしす, No.9, 67-82, 1996. (Summary) モーリッツ・ガイガーの感情性格概念を，現代の現象学者のヘルマン・シュミッツやゲルノート・ベーメの「雰囲気」概念の先行形態として論じた．感情性格は，色や風景を体験する際に，主観の体験に応じて客観の側に見出される，事物の上に射す薄光という形での感情の色合いである．この感情性格が風景に対する態度に応じてさまざまに把握され，それが風景論の根拠づけともなることを論じた． (Keyword) 感情性格 / landscape / 雰囲気
5.	Michio Ishida : 根源現象と生きられる時間·空間, 哲学, Vol.41, 47-59, 1989. (Summary) 根源現象は根源的な生成の場面で自らを示す．この生成の次元は後期フッサールで問題とされた「生き生きとした現在」である．生き生きとした現在はK.ヘルトによって「立ちとどまりつつ流れる現在」として，その謎を帯びた性格が露にされた．この現在は反省以前にいつでもすでに生きられている拡がり(遊動空間)である．私はこれを身体の「ここといま」に定位されることで客観化される「生きられる時間·空間」として論じた．

Academic Paper (Unrefereed Paper):

1.	Michio Ishida : Husserl's Phenomenology of Life-World: On the Problem and the Range of Ontology of Life-World., Journal of Human Sciences and Arts Faculty of Integrated Arts and Sciences The University of Tokushima, Vol.23, 73-88, 2015. (Summary) 本論文は平成26年度夏期京都ヘーゲル読書会の発表を基にしたものである．フッサールの生活世界の現象学を，生活世界の存在論の課題とその射程をめぐって論じた．フッサールは，科学の客観主義によって生活世界が忘却され，人間の生の意味喪失が起こっていることを指摘した．生活世界は，科学に基礎を与えるだけでなく，科学を含む具体的な普遍性としての世界である．この具体的な世界としての生活世界を解明することが生活世界の存在論と現象学の課題であることを論じた． (Keyword) Husserl / Life-World (Tokushima University Institutional Repository) ● Metadata: 109567 (Link to Search Site for Scientific Articles) ● CiNii @ National Institute of Informatics (CRID): 1050564287418382848 (Tokushima University Institutional Repository: 109567, CiNii: 1050564287418382848)
2.	Michio Ishida : Alexander von Humboldt on the Physiognomy of Plants, Journal of Human Sciences and Arts Faculty of Integrated Arts and Sciences The University of Tokushima, Vol.19, No.0, 1-16, 2011. (Tokushima University Institutional Repository) ● Metadata: 85012 (Link to Search Site for Scientific Articles) ● CiNii @ National Institute of Informatics (CRID): 1050282812440565632 (Tokushima University Institutional Repository: 85012, CiNii: 1050282812440565632)
3.	Michio Ishida : Lavater's Conception of Physiognomy and its Problmes, Journal of Human Sciences and Arts Faculty of Integrated Arts and Sciences The University of Tokushima, Vol.18, 97-112, 2010. (Keyword) Lavater / physiognomy (Tokushima University Institutional Repository) ● Metadata: 74035 (Link to Search Site for Scientific Articles) ● CiNii @ National Institute of Informatics (CRID): 1050001337463714048 (Tokushima University Institutional Repository: 74035, CiNii: 1050001337463714048)
4.	Michio Ishida : 人類のヨーロッパ化と異文化理解, Journal of Human Sciences and Arts Faculty of Integrated Arts and Sciences The University of Tokushima, Vol.12, 1-23, 2005. (Summary) フッサールの相互主観性の問題に含まれる文化世界の構成を，フッサールの1935年の「ウィーン公演」，『デカルト的省察』およびフッサリアーナ第15巻に収められたテキスト等によって論じた． (Tokushima University Institutional Repository) ● Metadata: 44993 (Tokushima University Institutional Repository: 44993)
5.	Michio Ishida : 表現と感情移入, Journal of Human Sciences and Arts Faculty of Integrated Arts and Sciences The University of Tokushima, Vol.11, No.0, 1-20, 2004. (Summary) フッサールの『イデーンII』を中心とした「人格に対する感情移入」を，『論理学研究』や相互主観性に関わる草稿での論点を含めて論じた．人格に対する感情移入は，表現を媒介にした感情移入であり，自然的態度(人格主義的態度)での経験的な感情移入である．それは，他者経験を可能とする超越論的な感情移入とは異なって，他の人格を表現を通じて理解し，われわれが互いに一人の人間であることを認める感情移入である． (Tokushima University Institutional Repository) ● Metadata: 40583 (Link to Search Site for Scientific Articles) ● CiNii @ National Institute of Informatics (CRID): 1050845762393802752 (Tokushima University Institutional Repository: 40583, CiNii: 1050845762393802752)
6.	Michio Ishida : フッサール『イデーンII』における人格の構成について, Journal of Human Sciences and Arts Faculty of Integrated Arts and Sciences The University of Tokushima, Vol.10, No.0, 37-61, 2003. (Summary) フッサールの『イデーンII』において，人格(人格的自我)がいかに周囲世界において実在性として構成されるかを論じた．人格は重層構造をもつ実在的な人間であり，身体を有し，心として存在しながら，高次の精神活動を営むものである．このような人格を，自然と精神という二つの実在性の構成の連関の中で，自然の基盤としての心と身体に依存しながらも，能力の自由な主観として理性作用という高次の精神活動を行うものとして論じた． (Tokushima University Institutional Repository) ● Metadata: 36800 (Link to Search Site for Scientific Articles) ● CiNii @ National Institute of Informatics (CRID): 1050282812440379008 (Tokushima University Institutional Repository: 36800, CiNii: 1050282812440379008)
7.	Michio Ishida : フッサール現象学における感情移入の問題, Journal of Human Sciences and Arts Faculty of Integrated Arts and Sciences The University of Tokushima, Vol.8, 1-17, 2001. (Summary) 他者経験や相互主観性に関わるフッサールの「感情移入」の概念を，まずテオドール·リップスたち心理学者や美学者たちのその概念との関連およびリップスの感情移入概念のフッサールにおける受容の仕方について述べた．次に，フッサールの感情移入論の独自性を，身体を媒介にする共同主観としての他者への感情移入に見た．最後にヘルマン·シュミッツの視点によるフッサールの感情移入論の「新たな共感論」への再形成の可能性を論じた． (Tokushima University Institutional Repository) ● Metadata: 29000 (Tokushima University Institutional Repository: 29000)
8.	Michio Ishida : テオドール·リップスの感情移入論を巡る問題, Journal of Human Sciences and Arts Faculty of Integrated Arts and Sciences The University of Tokushima, Vol.6, 1-23, 1999. (Summary) リップスの感情移入理論を，これに関わる彼の類推理論批判と共に検討し，次にそれに対するシェーラーやカッシーラーの批判，さらにヘルマン·シュミッツによる感情移入を身体的コミュニケーションとして再解釈する試みを検討した．リップスの感情移入は自他の共同体験として再評価されるべきことを論じた． (Tokushima University Institutional Repository) ● Metadata: 85984 (Tokushima University Institutional Repository: 85984)
9.	Michio Ishida : フッサールにおける相互主観性のモナド論的構成について, Journal of the Faculty of Integrated Arts and Sciences, The University of Tokushima (Humanities), Vol.6, 15-31, 1993. (Summary) フッサールは自他の共同性の分析をモナド論として，『デカルト的省察』以前のさまざまの時期に構想していた．本論文はシュトラッサーとヘルトの研究を手引きに，主に『相互主観性の現象学』に収められたさまざまの草稿に見られるモナドの記述から，モナド論としてのフッサールの相互主観性の理論を時間性をも考慮して考察した．ここで原初的に交流するモナドの共同性が人間の共存のあり方として明らかとなった．
10.	Michio Ishida : フッサールにおける他者経験の問題, Journal of the Faculty of Integrated Arts and Sciences, The University of Tokushima (Humanities), Vol.4, 91-108, 1992. (Summary) 本論文は，フッサールが『デカルト的省察』で，他者を自我と同等な「他の超越論的自我」(共同主観)として扱っているかどうかを，ヘルト，トイニッセン，アギレなどの研究を踏まえて検討した．他者の非主題的把握を自我による他者の非主題的把握によって基づけた点で，フッサールの他者経験論にはヘルトが言うように，共同主観としての他者の原本的意識の把握に問題があることが分かった．けれども，自他の共同性の低次及び高次の分析はヘルトによっても論じられずに残った．
11.	Michio Ishida : 行為と生, Journal of the Faculty of Integrated Arts and Sciences, The University of Tokushima (Humanities), Vol.3, 43-55, 1990. (Summary) 行為(実践)は人間の生全体の活動の中に位置づけることができる．これによって行為はいつでも遊動空間のうちで行われる．行為の遊動空間は限界づけられていると共に，未来に開かれている．本論文は現象の根源次元へ立ち帰って行為を考察する．この考察により自己責任の主体としての行為者のあり方や自由の問題に新たな光が投じられる．
12.	Michio Ishida : 現象と現前, 広島大学文学部紀要, Vol.46, 19-37, 1987. (Summary) 現象はその背後に何かが隠されているようなものではない．現象(パイノメノン)は「それ自らを示すもの」であり，これを見させる学が現象学である．現象は「現出すること」と「現出するもの」の二面性と一体性をもっている．諸現象は互いに連関して現象野を成し，そして現象野は超越論的主観性への移行を含んだ，客観的世界の手前にある「生きられた世界」(メルロー·ポンティ)である．
13.	Michio Ishida : 時間と意識, 広島大学文学部紀要, Vol.45, 58-73, 1986. (Summary) 『時間講義』は人間の意識の基層を成す内的時間意識の分析によって時間の構成を問う．その際，時間の構成は内在的時間の構成と客観的時間の構成という二つの段階から成る．内在的時間客観の構成の分析から，内在的時間は意識の流れの諸位相の秩序として明らかになり，他方で，客観的時間は内在的時間が客観化されることによって成立し，その構成には事物の構成が関与することを論じた．
14.	Michio Ishida : フッサールにおける形式論理学の現象学的基礎づけ, 広島大学文学部紀要, Vol.44, 1-19, 1984. (Summary) フッサールは『形式論理学と超越論的論理学』おいて形式論理学の志向的解明を試みた．これは形式論理学の客観的内容を成す論理的形成体から，その意味を形成する志向性へと遡ることである．すなわち形式論理学から超越論的論理学への道は，あらゆる存在の形式的基礎づけから，その形式的なものの起源(超越論的主観性)へ立ち帰る道であり，この主観性の自己省察の道であることを私は示した．
15.	Michio Ishida : 現象学的心理学から超越論的現象学へ, 広島大学文学部紀要, Vol.43, 59-77, 1983. (Summary) フッサールの現象学は処女作の『算術の哲学』から晩年の『危機』に至るまで，常に心理学と密接に関係していた．その際，両者の学はいかに関連するかが問題となる．現象学的心理学は一方で人間の心的経験を心理学的に研究しながら，他方で現象学の地盤の上にあり，超越論的現象学への途上にある．本論文で，私はこの学の生成と構造を，『イデーンI』や『ブリタニカ』草稿などから論じた．
16.	Michio Ishida : 現象学的超越論哲学への道, 広島大学文学部紀要, Vol.42, 41-59, 1982. (Summary) 後期フッサールの最後の著作である『危機』を，われわれは『第一哲学』以来の現象学的還元の「心理学者の道」の主題論の中に位置づける．『危機』では還元の道は「生活世界から現象学的超越論哲学への道」と「心理学から現象学的超越論哲学への道」という二つの道として示される．フッサールが哲学の目的論的·歴史的考察に基づいて，還元を生活世界の所与性様式から説明し，心理学を超越論哲学へ改造しようとしたことを，私は明らかにした．
17.	Michio Ishida : フッサールの『第一哲学』(1923/24年)における現象学的還元について, 広島大学文学部紀要, Vol.41, 19-37, 1981. (Summary) 1923/24年の『第一哲学』第二部は，『イデーン』I以来の現象学的還元の方法を「デカルト的道」として改めて定式化する一方で，この道の欠陥を批判することによって，還元の「第二の道」(心理学者の道)を模索している．私は本論文で，世界に意味を与える超越論的主観性はデカルト的なやり方で一挙に開示されるのではなく，個別的な作用に即した心理学的還元から普遍的な超越論的還元へ移行することによって得られることを論じた．
18.	Michio Ishida : 領域的存在論と現象学(一), 広島大学文学部紀要, Vol.40, 44-62, 1980. (Summary) フッサールの『イデーン』IIは『イデーン』Iで獲得された超越論的現象学の一般的理論を各領域へ適用し，領域構成を通して構成の問題(構成の現象学)を扱う．構成的現象学は領域的存在論の中で仕上げられる．本論文では『イデーン』IIにおける自然の構成を事物性の構成，身体の構成，心の構成に分けて論じ，その特徴を明らかにした．
19.	Michio Ishida : 領域的構成論と現象学(二), シンポジオン, No.26, 73-80, 1980. (Summary) 『イデーン』IIは，第一部と第二部で自然の構成を，第三部で精神世界の構成を扱っている．またそれに応じて，自然主義的見方と人格主義的見方を述べている．本論文では自然主義的見方から人格主義的見方への移行に応じて，自然が精神世界として新たに捉え返されることを論じた．つまり自然を包括する精神世界の構造の解明と現象学的な精神科学の基礎づけを論じた．
20.	Michio Ishida : フッサール現象学における意味の考察, シンポジオン, No.25, 61-68, 1979. (Summary) フッサールにおいて，意味は志向的体験において対象と関連して論じられる．その際，意味が静態的及び発生的に考察されることを本論文は明らかにした．静態的には意味はノエシスの能動的な意味付与によって対象が規定される仕方である．他方，発生的には意味は意識生の地平性によって先所与性の野から受動的総合を通してさまざまの段階で対象が露呈される仕方である．

Proceeding of Domestic Conference:

1.	Michio Ishida : ラヴァーターにおける顔の記号学, 日本シェリング協会第19回大会, Jul. 2010. (Keyword) 観相学 / face
2.	Michio Ishida : モーリッツ・ガイガーにおける感情性格概念について, 広島大学応用倫理学プロジェクトセンター第4回例会, Feb. 2008. (Summary) モーリッツ・ガイガーの感情性格概念について，風景の感情体験や風景に対する態度に関して発表した．
3.	Michio Ishida : 心身と共感の問題, 中国·四国学校保健学会第31回大会講演集, 12-13, Jun. 1999. (Summary) 心身と共感の問題を，ヘルマン·シュミッツとマックス·シェーラーを手掛かりとして論じた．学校現場で問題になっている，むかつく，キレるなどに表される子どもの衝動的な行動を理解するためのシンポジウムでの発表である．
4.	Michio Ishida : 超越論的モナド論としての相互主観性の現象学, 広島大学西洋哲学研究会第44回大会, Nov. 1992.
5.	Michio Ishida : 現象と時間, 現象学年報, No.4, 175-178, May 1987. (Summary) 現象の生成の最も根源的な次元は時間である．時間は根源現象の今という核心的位相に中心化されると共に，「いままさに現出しようとしている」という付随的位相を伴った現在の拡がりにおいて私に体験される．諸現象は互いに連関し合って現象野を成す．この野を支配しているのは地平性として示される多様な現出の流れである．この流れは現在において現象野全体を支配している．
6.	Michio Ishida : フッサールの『危機』における還元の道, 広島哲学会第33回大会, Nov. 1982.
7.	Michio Ishida : 現象学と還元の道, 広島大学西洋哲学研究会第24回大会, Nov. 1982.
8.	Michio Ishida : フッサールにおける「第一哲学」の理念について, 広島大学西洋哲学研究会第20回大会, Dec. 1980.
9.	Michio Ishida : フッサールの『イデーン』IIにおける精神世界の構成について, 広島哲学会第31回大会, Nov. 1980.
10.	Michio Ishida : 意味の現象学的考察, 広島大学西洋哲学研究会第17回大会, Jul. 1978.

Et cetera, Workshop:

1.	GENXIONG MA, Enkhjargal Molomjamts, RONGRONG LI, YUANZHI SUN, Yuka Yamaguchi, Michio Ishida, Takanori Satoh and Shintaro Nakayama : プロジェクト研究Ⅰ(中山・石田・佐藤グループ)発表会, 平成25年度総合科学教育部プロジェクト研究I 発表会, Feb. 2014.
2.	Chiharu Yano, Qi Xuqiong, BLOYER MARIE VICTORIA, TSOLMON CHIMEDDORJ, Takanori Satoh, Takahito Saito, Michio Ishida, 松尾義則 and Makoto Ohashi : INTERNATIONAL STUDENT CONFERENCE OF 2012, 平成24年度総合科学教育部プロジェクト研究I 発表会, Feb. 2013.

Report:

1.	GENXIONG MA, Enkhjargal Molomjamts, RONGRONG LI, YUANZHI SUN, Yuka Yamaguchi, Michio Ishida, Takanori Satoh and Shintaro Nakayama : プロジェクト研究Ⅰ(中山・石田・佐藤グループ)報告書, 平成25年度総合科学教育部プロジェクト研究I 報告書, 1-9, Tokushima, Jan. 2014.
2.	Chiharu Yano, Qi Xuqiong, BLOYER MARIE VICTORIA, TSOLMON CHIMEDDORJ, Takanori Satoh, Takahito Saito, Michio Ishida, 松尾義則 and Makoto Ohashi : プロジェクト研究Ⅰ(International Student Conference 開催プロジェクト)報告書, --- INTERNATIONAL STUDENT CONFERENCE OF 2012 ---, 平成24年度総合科学教育部プロジェクト研究I 報告書, Tokushima, Jan. 2013.

Grants-in-Aid for Scientific Research (KAKEN Grants Database @ NII.ac.jp)

Construction of the Theory of Peace: an Applied-Ethical Approach focusing on Reconciliation (Project/Area Number: 15H03153 )
Evolvement of Reconciliation: an Approach to Peace from the Viewpoint of Applied Ethics (Project/Area Number: 24320006 )
Eco-phenomenological Study on the Landscape-Toward an Ecological Aesthetics of Nature- (Project/Area Number: 21520017 )
Reconstruction of Reconciliation : an Approach to Peace from the Viewpoint of Applied Ethics (Project/Area Number: 21320007 )
Phenomenological study of the experience of the Other. (Project/Area Number: 03610003 )
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Professor Emeritus : Ishida, Michio

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