徳島大学 / 教育研究者総覧 --- 川上三郎

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研究活動

専門分野

○	ドイツ語

研究テーマ

○	ドイツ語意味論, ドイツ語のコンピュータによる処理と解析, 日本におけるドイツ人俘虜 (言語学, 俘虜) (ドイツ語の時間と空間に関する表現に関する考察コンピュータによるドイツ語の形態素解析第一次世界大戦時のドイツ人の俘虜に関する史料の整理と考察)

著書・論文

著書:

1.	井戸慶治, 川上三郎, 瀬戸武彦, 田中優, 田村一郎 : 「ディ・バラッケ」第三巻, 鳴門市ドイツ館, 2005年3月. (要約) 「板東俘虜収容所」のドイツ人捕虜によって作られた新聞の翻訳．1918年10月から19年3月までに発行された部分を収録．
2.	鳴門市ドイツ館史料研究会, 川上三郎 : ディ·バラッケ —板東俘虜収容所新聞— 第2巻, 鳴門市, 鳴門, 2001年3月. (要約) 本書は第一次世界大戦時，板東俘虜収容所にいたドイツ人が発行していた週刊新聞 "Die Baracke" の第2巻の翻訳である．その内容は時事，日本や中国の文化の紹介，地理，歴史，地学，天文などの学術的なもの，収容所内の日常など多岐にわたるもので，当時の事情を知らないと翻訳が不可能なものもあり，困難が多かった．私は全27号のうち，6号および16∼20号を担当した．さらにDTPソフトによる判付けまでを行った
3.	鳴門市ドイツ館史料研究会, 川上三郎 : ディ·バラッケ —板東俘虜収容所新聞— 第1巻, 鳴門市, 鳴門, 1998年3月. (要約) 本書は第一次世界大戦時，板東俘虜収容所にいたドイツ人が発行していた週刊新聞 "Die Baracke" の第1巻の翻訳である．その内容は時事，日本や中国の文化の紹介，地理，歴史，地学，天文などの学術的なもの，収容所内の日常など多岐にわたるもので，当時の事情を知らないと翻訳が不可能なものもあり，困難が多かった．私は全25号のうち，21, 22, 23号を担当した．
4.	池内宣夫, 川上三郎 : 新アルファ独和辞典, 三修社, 東京, 1994年2月.
5.	小野寺和夫, 川上三郎 : 小学館プログレッシブ独和辞典, 小学館, 東京, 1994年1月. (要約) 本辞典は大学生レベルのドイツ語学習者に使いやすくするための，さまざまな工夫を凝らしながら，制作された独和辞典である．私は10名からなる編集委員の一人として様々な項目の執筆や，執筆者から出てきた原稿の修正や補筆，ゲラの修正などを担当した．
6.	池内宣夫, 川上三郎 : アルファ独和辞典, 三修社, 東京, 1989年11月. (要約) 本書は，初学者のドイツ語学習上の困難を軽減したいとの意図で編纂されたものであるが，内容面では中級程度のドイツ語の翻訳にも十分使用可能な語彙数を持ち，語義と用例の説明を豊富に備えたドイツ語の学習辞典である．執筆では「重要語」を中心とする多数の語を担当し，編集校訂では M 以降の「重要語」の名詞と冠詞類その他を担当した．共同編著者:池内宣夫，井口靖，川上三郎，在間進ほか13名．B6，総頁数1363

学術論文(審査論文):

1.	佐藤征弥, 種ヶ嶋絵理, 網田克明, 川上三郎 : 板東俘虜収容所のドイツ兵が大麻比古神社境内に造った橋と公園, 徳島大学地域科学研究, Vol.5, 10-32, 2015年. (要約) 鳴門市大麻町板東にある大麻比古神社の本殿裏の林内に「ドイツ橋(独逸橋)」，「めがね橋」と呼ばれる2つの石橋がある．これらは板東俘虜収容所に収容されていたドイツ兵が1917年から1919年にかけて橋造り・公園造りの一環として築いたものである．本研究はドイツ兵が造った公園がどのようなものだったのか具体的に明らかにすることを目的として行なった．ドイツ兵が残した記録や写真，地元の古老への聞きとり，大麻比古神社の古境内図等を基に，ドイツ兵が何をどこに造ったのか推測・推定した．そして，2つの石橋の他に，石段と道にドイツ兵が築いた名残を留めていることが分かった．また，調査の過程で，これらを設計し作業を指揮したドイッチュマン築城少尉の他にマックス・ブンゲ曹長が関わっていることが分かった．彼は，青島ドイツ人社会において英雄と称えられた人物であり，収容所から解放された後，帰国して故郷の町ハイリゲンハーフェンで町長を12年務めた．彼については今日まで板東俘虜収容所を題材にした一連の調査や作品群において注目されることがなかったが，このように傑出した人物であり，橋や公園の保存・管理にあたり彼の存在についても記憶に留めるべきであると考える． (キーワード) アドルフ・ドイッチュマン / 板東俘虜収容所 / ドイツ橋 / ディ・バラッケ / 大麻比古神社 (徳島大学機関リポジトリ) ● Metadata: 109548 (文献検索サイトへのリンク) ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1050564287418379136 (徳島大学機関リポジトリ: 109548, CiNii: 1050564287418379136)
2.	川上三郎 : 時制-PerfektとPräteritum, ドイツ文学, No.71, 36-45, 1983年. (要約) 本論文は，ドイツ語の過去形と現在完了の使い分けに関して，時制が現実世界の時間の反映ではなく，発話者の意識の反映であるとの観点から論じたものである．つまり一般に双方とも過去のできごとを表わすとされているが，過去形はある事柄が過去に属するとの時間意識の反映であり，現在完了はある心理的な基準時間から見て完了している事柄を表わすと考えると，従来説明不可能であった文が説明できることを示した．
3.	川上三郎 : 現在形の用法を規定する要因について, ドイツ文学論集, No.8, 54-63, 1975年. (キーワード) ドイツ語 / 時間表現

学術論文(紀要・その他):

1.	川上三郎 : ことがらの時間的構造認識と時制使用について, 徳島大学総合科学部言語文化研究, Vol.5, 175-188, 1998年. (要約) 本論文は，日本語，英語，ドイツ語などの文について，その時間的な意味について検証しながら，時制の使用が現実のできごとの時間的な配置によって決定されるのではなく，話すことがらに対する話者の認識的な側面が大きく作用することを論じた． (キーワード) 時間 / 時制 / 言語 (language) (徳島大学機関リポジトリ) ● Metadata: 387 (徳島大学機関リポジトリ: 387)
2.	川上三郎 : パーソナルコンピュータを用いたドイツ語の形態素の自動解析の試み, 徳島大学教養部紀要(外国語·外国文学), Vol.4, 107-123, 1993年. (要約) 本論文は，ドイツ語の語法分析のために必要となる多量の言語資料を効率的に処理するために，その前提となる自動構文解析をめざした第一段階にあたるものである．ここでは単語の文法素性を詳しく導き出すための形態素の自動解析プログラム作成のための手順を検討し，例示をおこなった．また同時に文字列処理の言語として SNOBOL4 を採用し，その簡便性と有効性を示した． (キーワード) ドイツ語 / 形態素解析
3.	川上三郎 : jener の用法について, 徳島大学教養部紀要(外国語·外国文学), Vol.3, 113-125, 1992年. (要約) 本論文は，現代ドイツ語における語の用法と辞書等での記述とに落差のある語としてjener を取り上げたものである．著者の採集した多数ののドイツ語の資料からコンピュータ処理によって jener を抽出し，一つ一つの用法を検討して，従来言われているような「空間的に遠くはなれたものを指す」意味ではほとんど使われることはないこと，後の関係代名詞文を先行指示する用法が多く見られることを指摘した． (キーワード) ドイツ語 / 指示代名詞
4.	川上三郎 : ドイツ語の前置詞 in の意味について(1), 徳島大学教養部紀要(外国語·外国文学), Vol.1, 97-116, 1990年. (要約) 本論文は，辞書では in の記述が非常に少ない点を補うことを目的に，種々のドイツ語テキスト(新聞，文学，科学読み物，雑誌など)の中からもっとも使用頻度の高い前置詞である in の用例を抽出してその意味用法の記述，分類を行ったものである．その結果として大きく分けて，空間的なもの，疑似空間的なもの，活動や状態の表現，尺度·量，方法や様態の表現などに分類できた． (キーワード) ドイツ語 / 前置詞
5.	川上三郎 : 前置詞 auf の意味展開について, 徳島大学教養部紀要(人文·社会科学), Vol.22, 185-201, 1987年. (要約) 本論文は，重要な前置詞である auf のもつ様々な意味用法を広範な用例と他の類例の前置詞との比較にもとづいて，整合的な説明を試みたものである．前置詞は歴史的にも，また人間の発達心理上も空間的な意味が先行することから，まず auf の空間的な意味を詳しく検討し，そこから時間的意味や比喩的意味がどのように導出されるかを示したものである． (キーワード) ドイツ語 / 前置詞
6.	川上三郎 : 空間指示の前置詞について, 徳島大学教養部紀要(人文·社会科学), Vol.18, 203-216, 1983年. (要約) 本論文は，ドイツ語の前置詞の中で特に an, auf, in を取り上げて，どのような意味があるか，またそれに支配される名詞にはどのような共通の意味特徴があるかを検証したものである．これらは日本語表現に直した場合には，ほとんど「に」または「へ」となってしまい，日本人にとって使い分けが困難なものであるが，ここでの記述は語法学習の上で有益な材料となるはずである． (キーワード) ドイツ語 / 前置詞
7.	川上三郎 : 文·時制·事実性, 徳島大学教養部紀要(人文·社会科学), Vol.17, 61-75, 1982年. (要約) 本論文は，文が現実世界のできごとそのものを描写するものでも，また時間論理でのキー概念である可能な世界のできごとを表わすものではなく，人間の認識が作り上げたもの(これを Imago-Faktum と名付けた)を表わすものであるという前提に立って，現在形，過去形，現在完了，過去完了の意味解釈を試みたものである． (キーワード) 文 / 時制 / ドイツ語 / 英語 / 日本語
8.	川上三郎 : 未来表現と「未来形」, 徳島大学教養部紀要(人文·社会科学), Vol.15, 243-263, 1980年. (要約) 本論文は，時間論理にもとづく議論だけでは説明できない用法があることを未来表現と「未来形」を中心に述べたものである．その際，日本語，英語，仏語の用例をも取り上げて，問題がドイツ語だけの枠内にとどまるものではなく，汎言語的なものである可能性があること，つまり人間の周囲のことがらへの時間的な認識がかかわることを指摘した (キーワード) ドイツ語 / 未来表現
9.	川上三郎 : 時間表現の副文における視点の時間について, 徳島大学教養部紀要(人文·社会科学), Vol.13, 141-149, 1978年. (要約) 本論文は，時間論理に基づく近年のドイツ語の時制の研究での単純化した記述形式では説明できない点を，時間表現の副文について指摘したものである．従来の時制論では副文の視点の時間が主文によって指示されるとの考え方であったが，むしろ副文そのものが視点の時間を独自に持っており，逆にそれが主文の視点の時間を規定すると見た方が全般的な面から整合性があることを示した (キーワード) 時称 / ドイツ語 / 時間表現
10.	川上三郎 : ドイツ語の s，z，s の音韻論的問題, 徳島大学教養部紀要(人文·社会科学), Vol.10, 47-53, 1975年. (文献検索サイトへのリンク) ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1520290885368234752 (CiNii: 1520290885368234752)
11.	川上三郎 : ドイツ語の現在形と日本語の「る」，「ている」, 森川晃卿先生還暦記念ドイツ文学論集, 18-28, 1973年.
12.	川上三郎 : ドイツ語の「話法の助動詞」に関する覚え書き, 徳島大学教養部紀要(人文·社会科学), Vol.7, 57-71, 1972年.

学術レター:

1.	川上三郎 : マッキントッシュで使える電子ブック閲覧ソフトについて, ドイツ語情報処理, No.8, 1996年. (要約) 本論は，ソニーの提唱した「電子ブック」規格，およびEPWing規格のCD-ROMを有効に活用するための技術的な側面の解説と，私の開発した閲覧ソフトの紹介とを行ってる．論題にマッキントッシュという語句が使われているのは，開発プラットフォームが MacOSであるためである． (キーワード) 電子ブック / ドイツ語
2.	川上三郎 : 過去と過去完了について, ドイツ語教育部会会報, No.13, 25-28, 1978年. (キーワード) ドイツ語 / 過去表現

国内講演発表:

1.	佐藤征弥, 種ヶ嶋絵里, 網田克明, 川上三郎 : ドイツ兵が造った大麻比古神社境内林の公園, 徳島生物学会第135回総会, 2015年12月. (要約) 鳴門市大麻町板東に鎮座する大麻比古神社の境内には，本殿裏の林内に「ドイツ橋(独逸橋)」，「めがね橋」と呼ばれる2つの石橋がある．これらは板東俘虜収容所に収容されていたドイツ兵が1917年から1919年にかけて造ったものであり，歴史を偲ばせる名所として多くの人が訪れている．これら2つの石橋は，ドイツ兵たちが神社境内の林地に公園を作る一環として築いたものである．ドイツ兵が記した記録から，6つの木橋と4つの石橋，総延長1,130 mの道，石の堤防，傾斜路，2つの石段を造ったことが分かっている．しかし，上記の2つの石橋以外は，侵食や樹木の成長により流されたり壊れたりし，境内の整備によっても失われた他，昭和40年前後に行なわれた大規模な整備により，現存するものがドイツ兵が造ったものなのか，新たに設置されたものか分からなくなっていた．本研究はドイツ兵が造った公園がどのようなものだったのか明らかにすることを目的として，大麻比古神社，徳島県立農林水産総合技術支援センター，鳴門市ドイツ館との共同で調査を行なった．ドイツ兵が残した記録や写真，地元の古老への聞きとり，そして今回の調査の課程で発見された大麻比古神社の古境内図等に基づき，ドイツ兵が何をどこに作ったのかある程度推定することができた．現在，彼らが造ったものの多くは失われてしまったが，上記の石橋以外に，林地内の散歩道の一部や石段が残っていると考えられる．さらに，この橋造り・公園造りは，アドルフ・ドイッチュマン(Adolf Deutschmann)築城少尉が設計し作業を指揮したことが知られていたが，今回あらたにマックス・ブンゲ(Max Bunge)曹長が作業に携わっていたことが判明した．彼がM.B.というペンネームで作業の様子を記した「大麻神社境内の秋の気分」からは，ここの自然と人々の信仰心への深い共感が読み取れる．彼は，3つの勇敢な行動により青島ドイツ人社会において英雄と称えられた人物であり，収容所内でも尊敬を集めていた．解放された後は，ドイツに帰国して故郷の町ハイリゲンハーフェン(Heiligenhafen)の町長を1933年から1945年まで務め，住民から「MB父さん」と慕われた．彼については，今日まで板東俘虜収容所を題材にした一連の調査や作品群において注目されることがなかったが，このように傑出した人物であった．本報告では，公園の詳細について紹介するとともに，ドイツ兵たちはなぜこの地に公園を造ったのか，その理由をドイツにおけるParkの意味と神社の大麻比古境内林の特徴から考察した結果について述べる． (キーワード) 大麻比古神社 / 板東俘虜収容所 / ドイツ橋 / めがね橋 / アドルフ・ドイッチュマン / マックス・ブンゲ
2.	川上三郎 : 「未来形」に関するいくつかの問題, 日本独文学会1978年秋季研究発表会, 1978年10月. (要約) ドイツ語文法で「未来形」と称されている形式が，実際の多くの用例では未来の事柄を描写するものではなく，modal な意味で使われることを日本語，英語，フランス語の文との共通性を指摘しながら論じた．
3.	川上三郎 : ドイツ語と日本語の過去表現形式について, 日本独文学会中国四国支部研究発表会, 1975年11月.

その他・研究会:

1.	井戸慶治, 川上三郎, 瀬戸武彦, 田中優, 田村一郎 : 「ディ・バラッケ」第4巻, 2007年3月. (要約) 坂東俘虜収容所の捕虜新聞の翻訳．最後の半年分で月刊となった部分(1919年4月から9月，3分冊，全658ページ)のうち，7月号の一部(324-340ページ )，9月号(431-547ページ)を担当．また，同じ編集部によって作られた帰国途上の船上新聞「帰国航」Heimfahrt (639-657ページ)を担当．
2.	川上三郎 : 俘虜の学習活動について, 地域社会における外来文化の受容とその展開, 30-36, 2003年3月. (要約) 本論文は，鳴門教育大学と鳴門市との共同学術研究事業の報告書の一部として執筆されたものである．内容は第一次世界大戦時，各地に分散して収容されていたドイツ兵俘虜の学習活動に注目し，その学習対象や様子の概略を記述したものである． (キーワード) ドイツ兵 / 板東俘虜収容所

科学研究費補助金 (KAKEN Grants Database @ NII.ac.jp)

徳島・板東俘虜収容所の研究 (研究課題/領域番号: 20652026 )
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